公正証書遺言のすゝめ
公正証書遺言は、①形式不備で無効になる危険性が無く、②公証人役場にて口述、筆談、手話により作成することも可能です。
かつては、③検認が不要、④改ざん、隠ぺい、紛失の危険性が無いという点で公正証書遺言が自筆遺言証書よりも優れていましたが、近年の民法改正により法務局の自筆証書遺言保管制度を利用すればこの2点のメリットを受けられるようになりました。
確かに自筆証書遺言は便利なものとなりましたが、自筆証書遺言保管制度は内容が民法上適法であるか否かの保証はありません。
確かな遺言書を作るには公正証書遺言をおすすめしております。
遺言をお作りの際は、その内容についてもご相談させていただきたく存じます。
(1) 家の跡取りが決まっている場合
子供が二人以上いる場合は跡取りの子供を中心に遺言書を作ります。
跡取りがいる場合は、次の代の相続を見据えて不動産や同族会社の株式を
その跡取りに集中させ、相続人同士で共有させないことをおすすめします。
(2) 高齢の夫婦で子供がおらず、かつ兄弟姉妹がいる場合
両親以上の直系尊属が既にお亡くなりの場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。
遺言書を作成しておけば、被相続人の兄弟姉妹には遺留分が無いので
兄弟姉妹から相続分の請求ができなくなります。
もし遺言書が無ければ兄弟姉妹から相続分の請求ができることになります。
(3) 付き合いの無い、又は、疎遠な相続人がいる場合
具体的には前の配偶者との間に子供がいる場合が挙げられます。
この場合は現在の配偶者との間の子供を中心に遺言書を作成しておきます。
(4) 相続人になる人がいない場合
相続人になる人がいない場合は、相続権は無くとも付き合いのある親族
(例えばいとこの子供など)に遺言書を書くことが通例です。
場合によってはその親族を養子にする場合もあるかと思われます。
(5) 相続人の中に、海外在住の人や行方不明の人がいる
将来相続人となる人が海外在住や行方不明の場合、遺産分割協議に手間がかかります。
事前に遺産分割の内容を遺言書に書いておけば遺産分割協議を省略できます。